A 明白な著作権侵害の投稿があった場合、匿名性の高い掲示板(具体的にどこの誰が投稿したのか閲覧者が簡単に知ることのできない掲示板)の管理者は、@著作権侵害について注意事項を利用者に事前に案内し、A侵害時には速やかに侵害を是正する義務がある、という裁判例があります。
つまり、他人の著作物を許諾なく投稿した投稿者に責任があるのはもちろん、管理者も公衆送信権を侵害しているので、責任があるのです。
例えば、投稿の量が多く、投稿をいちいち管理者がチェックしきれない場合でも、他人の権利を侵害している以上、この責任を免れることはできません。なぜなら、管理しきれず、他人の権利を侵害してしまうような掲示板を設置すること自体が過失だからです。
管理責任を全うするためには、上記@Aを実行して下さい。
余談ですが、掲示板の運営は、始めるのは簡単ですが、法律的あるいは事実的にいろいろな危険があり、例えば企業のホームページに掲示板を置かないのはこうした理由が大きいのでしょう。
A 一度侵害をしてしえば、後から是正しても、既に違反は既遂で、相手に損害を与えているのですから、刑事的・民事的な責任を免れることはできません。是正した後についてはもう相手に損害を与えないために、その分が情状や、損害額の算定に反映されるに過ぎません。
著作物は著作権者が創造した知的財産であり、他人の著作権を侵害するいうことは他人の財産に「ただ乗り(フリーライド)」するということです。他人の著作物を自由に使えば人気の出るホームページを作るのはたやすいでしょうが、なぜ人気が出るのかという理由を省みて下さい。著作権者の財産を侵害するという実感を感じられるかもしれません。
A そのような規約は無効になります。
A 必ずしも実務上確定した見解は存在しないかもしれません。法や裁判例を元に考えると、当サイトの見解としては、難しい話になるので理由は省略しますが、表紙やデザインの製作された経緯や、表紙やデザインの創作性の程度によりけりで著作権がある場合とない場合があると考えられます。
著作権がないならば自由に利用ができるわけですが、著作権があるのかないのかを逐一個人が調査するのは現実的には困難ですから、自己責任として責任を問われたくないのであれば、著作権があるという前提で対処するのが妥当でしょう。そうなると、勝手な利用をすることはできません。
いちいち許諾を受けられない場合に、WEB上でよく利用される方法をご紹介します。例えば『アマゾン』社などと提携をして、アマゾン社が用意する、アマゾン社が販売のために表紙の著作権者から利用を許諾されている画像に、アマゾン社が認める方法でリンクを貼り、表示することです。この方法なら、「複製」「公衆送信」するのはアマゾン社になり、表紙の著作権者とアマゾン社の間で問題になることはあっても、リンクを貼っただけの利用者が著作権法上の責任を問われることは、まず考えられないのではないかと思います。
A テレビドラマも著作物で、ダビングは複製ですから、私的利用と言える範囲の知人にお願いするならともかく、見ず知らずの人に複製させることは、複製権の侵害になります。
補足すると、この場合、複製権を侵害するのは「見ず知らずの人」で、「お願いした人」ではないのですが、刑法的に考えると、「お願いをした人」も「見ず知らずの人」に「複製権の侵害をそそのかした」ということで「著作権法違反の教唆」という罪、または、「一緒に著作権法違反をした」ということで同じ「著作権法違反」に問われる可能性があります。
もっとも、上記のことはあくまで法律的な話で、ちょとやりとりをした位で実際にどれくらい問題になる可能性があるかということはまた別の問題です。